WORKS

作品紹介

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03

世界の文化財を守る紙

楮の里
〜日本の原風景〜

海のイメージが強い高知県ですが、森林率は84%にも及び、実は日本で一番山が多い県です (*全国平均の森林率は67 %)。黒潮町も8割近くが山地です。海沿いの道からちょっと外れれば、緑濃い山々に囲まれた里山が現れます。里山、日本の原風景。こんな風景も黒潮町・砂浜美術館の貴重な作品。そんな里山のなかから「さが谷三里」と呼ばれる地区の話をしましょう。

四万十町にある37番札所・岩本寺から足摺岬の38番札所・金剛福寺までの約88㎞。札所間では最長の区間です。さが谷三里は、その途上、八十八カ所四国巡礼の道にあります。かつてニホンカワウソが生息し、日本で最後に確認されたとして学術調査が行われたこの地域は、くねくねと流れる伊与木川沿いに日本の原風景が残り、「さが谷昔ばなし」に編纂されている民話の宝庫です。

若山楮
〜紙漉きの物語〜

この地域では1800年代後半(明治年代)から楮栽培が盛んで、特に拳の川地区の若山で産
する楮は若山楮と呼ばれ、日本一の品質を博していました。しかしその後、洋紙の普及など歴
史の変遷と共に若山楮の生産も、いつしか途絶えることになりました。しかし、地元の小学校
では6年生になると、自分自身の手で卒業証書を造っていました。
こういった地域文化の継続を望む住民の熱意は、やがて実を結びます。和紙は文化財の保
護・修繕の為に欠かすことが出来ない貴重な存在です。平成22年( 2 010年) 、文化財保
護・修繕ために良質な和紙作りの伝統を守ることを目的に設立された一般財団法人 世界紙文化遺産支援財団「紙守」の協力も
得て、若山楮の本格的栽培が再開されました。現在、この地区では、かつて日本一と謳われた若山楮と自然素材のみを使用して、
単に紙を漉くだけではなく、「塵取り」や「打開」といった江戸期以来の伝統的手法での紙づくりの行程が体験できます。

お問い合わせ・予約受付

  • 若山楮 紙漉き体験

    〒789-1911高知県幡多郡黒潮町浮鞭3573-5(NPO砂浜美術館)
    tel:0880-43-4915
    mail:ktn@sunabi.com